2017年3月25日土曜日

企画展パネルその2 乳を食べる

企画展のパネルを再現するシリーズの第2回。ミルクの食べ方です。

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དཀར་ཟས། 乳製品
牧畜民の主食は、農業地帯から運ばれてくるオオムギやコムギ、コメですが、一方で乳製品も、食事に欠かせないものです。ミルク茶、バター、チーズ、ヨーグルトなど、様々な形で食卓を彩ります。

朝食には、炒ったオオムギを挽いた麦こがし(ツァンパ) にたっぷりのバター、粒状の干しチーズ、砂糖を入れ、熱々のミルク茶を注ぎ、手で練って団子状にして食べます。






ミルク茶(オチャ)は茶汁の中にしぼりたてのミルク(オマ)を注いで沸かしたものです。塩や砂糖などは加えません。この地域では乾燥ハーブを入れて香りづけをします。チベットといえばバター茶が有名ですが、アムド地方ではバター茶ではなくミルク茶が飲まれています。



これはバターを作った翌日の朝食です。できたてのバターは家族やお客さんの分を写真のような形にしてひとかたまりずつ取り分けておき、それを翌朝にみんなでいただくのです。残りのバターは保存用にまとめます。


こちらはヨーグルト(ショ)。人肌程度に加熱したミルクに乳酸発酵の種菌を入れて、数時間保温するとヨーグルトができます。ヨーグルトを食べるときはよく混ぜてとろとろにしてすするように食べます。ほんのり甘いトマ(ツルキンバイの地下茎)を炊いたものと一緒に食べてもおいしい。バターと砂糖で甘く煮たトマを添えることもあります。


こちらはミルクシチュー(オコ)です。加熱したミルクに小麦粉を入れてとろみをつけたもので、水で戻したチーズ、トマも加えます。小麦粉の薄焼きパンにつけて食べます。


アムド・チベット語単語帳
འོ་མ། [オマ] ミルク
འོ་ཇ། [オチャ] ミルク茶
འོ་ཁོ། [オコ] ミルクシチュー
མར། [マル] バター
ཞོ།  [ショ] ヨーグルト
ཆུར་བ། (ཕྱུར་བ།) [チュラ] チーズ
རྩམ་པ། [ツァムパ] 麦こがし
གྲོ་མ། [トマ] ツルキンバイの地下茎
ནས། [ニ] オオムギ
གྲོ། [ト] コムギ
འབྲས། [ンディ] コメ
ཀ་ར། [カラ] 砂糖

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